1979年の創業以来、旧来のゴルフクラブの常識を覆す製品を世に送り出してきたテーラーメイドがトラスパターでゴルファーの「パターの選び方」の心理に影響を及ぼしています。
職人の手作業によるパーシモンから世界で初めて均一の性能で大量生産できるメタルへとヘッド素材を変更すること。
その後のチタンヘッド、カーボンヘッドへの流れを作ったり、ユーティリティというクラブのカテゴリーを確立したのもテーラーメイドでした。
「プロが使えるやさしいクラブ」という、現在の流れを作ったのも、テーラーメイドであるといっても過言ではないかもしれません。
テーラーメイドといえば、とかくドライバーやウッド系に注目がいきがちです。
ですが、実はパターに関しても、独特の形状による慣性モーメントの極大化を実現しつつも操作性をもたせた「スパイダー」シリーズなど、ツアープロに人気のパターも手がけています。
パターの選び方。テーラーメイド「トラスパター」は常識的な形状を打ち破る。
しかし、ボールを「打つ」クラブと異なり、数メートル先のカップへ「ボールを転がす」クラブであるパターに関しては、
わずかな打点のブレや、インパクトの瞬間のヘッドの向きによって結果に大きな差が出ます。
そこでフェースの向きを安定させるために考え出されたのが、パターのネック部分を三角形にして、
底辺の両端2点でヘッドを固定することでインパクトの瞬間のブレを抑制するとともに、有効打点エリアも拡大したのが「トラス」パターです。
稲見萌寧プロが使用する「トラスTB1 トラスヒールパター」の特徴。
通常、すべてのクラブはシャフトを中心にフェースが斜め上を向く重心アングルを持っています。
従ってフェースが開いて閉じる動きをしてボールを遠くへ飛ばします。
パターの場合には、シャフトを中心にフェースが開く重心アングルをもつ「トウヒールバランス」と、フェースが真上を向く「フェースバランス」の2種類があります。
- トウヒールバランスのパターはプレーヤーが自分でフェースの開閉を行う。
- よって繊細なタッチや方向性をコントロールしやすい。
- ですが、テークバックとフォロースルーの開閉度合いが狂うと外しやすい。
- フェースバランスのパターはまっすぐ引いて、真っすぐヘッドを出します。
- オートマチックなストロークが可能です。
- ですが、インパクトの瞬間にフェースがブレると慣性モーメントが大きい分、ブレた方向へ素直に転がっていきます。
そこで、ヘッドを三角形の底辺2点で支えること(トラス構造)で有効打点エリアを点から面に拡大しました。
ミスヒットしてもヘッドがブレにくく且つ、構えた時にトラス部分が視界に入らないようにデザインされたトラスシリーズが生み出されました。
稲見萌寧プロが使用する「トラスTB1トラスヒールパター」の評価。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E7%A8%B2%E8%A6%8B%E8%90%8C%E5%AF%A7&imageId=247740
稲見選手が使用する「トラスTB1 トラスヒールパター」はブレードタイプのオーソドックスな形状です。
もともと、このブレードタイプのパターはピンタイプともよばれ、他のゴルフクラブのようにフェースを開閉させることで狙ったラインに乗せる打ち方をするパターです。
しかし、アマチュアやプロでもプレッシャーがかかった時にはテークバックとフォロースルーで円弧に微妙なズレが生じたり、スイートスポットで打ち損ねたりが起きやすい事がありました。
そこからマレット型のような慣性モーメントが大きく、オートマチックに真っすぐ引いてまっすぐ出せばラインに乗るパター形状が考え出されました。
しかし、自分の感性やタッチが入れやすいブレードタイプのパターを好むプレーヤーも一定数存在していることからブレードタイプにトラス構造を採用しました。
三角形の底辺がヘッドを支えることで点から面でボールを捉えることが可能になり、インパクトの瞬間にヘッドがブレることなく、また広がった有効打点エリアによってストレスなくパッティングができるようになっています。

クラブへのこだわりが強い稲見選手が慣れ親しんだブレードタイプで自分の感性の通りに打てることで今季の好調さを維持できているのかもしれません。
「トラスTB1 トラスヒール」を使用する他の選手達
「トラス」シリーズパターは、今季すでに5勝を上げ、絶好調の稲見萌寧選手が現在「ジュノTB1トラスヒール」を使用しています。
その他に、有村智恵、永峰咲希、高橋彩華も「ジュノTB1トラスヒール」を使用しています。
また、センターシャフトの「ジュノTB2トラスセンター」は永井花奈、松田鈴英が実戦で使用するなど女子プロの間で人気となっております。
アマチュアでも効果が実感できることもあって人気となり、現在大手通販店でも品薄状態となっています。

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20-21シーズン「トラス」シリーズの優勝歴。
20年 | 日本女子プロ | 永峰咲希 | 旧TB1 |
20年 | スタンレーレディス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | 明治安田生命レディス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | ヤマハレディス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | 富士フイルム・スタジオアリス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | フジサンケイレディス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | 中京テレビ・ブリヂストンレディス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | アース・モンダミン | 菊地絵里香 | 新TB1 |
21年 | ニッポンハムレディス | 堀琴音 | 旧TB2 |
21年 | GMOサマンサタバサカップ | 若林舞衣子 | 新TB2 |
21年 | ニトリレディス | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
21年 | 日本女子プロ | 稲見萌寧 | 旧TB1 |
優勝パターはすべてブレードタイプのトラスです。今季初優勝した堀琴音のトラスは、トラスTB2トラスセンターです。
センターシャフトは軸線上に重心があり、操作性がよく、ボールを芯でとらえやすいが、打点のブレには弱い。TB2はトラス構造により開閉しにくくミスに強い。
常識的な形状を打ち破るテーラーメイド「トラスパター」の兄弟
トラスシリーズは代表的なのは4種類となっています。
ヘッド形状は、ピンタイプともいわれる「ブレード型TB2種」と、ツノ形状の「TM2種」です。
それぞれにヘッド後方にネックがあるスラントネックとセンターシャフト2を用意して合計5種類の展開です。
従って、スラントネックのブレード型はTB1ジュノ、ネオマレット型はTM1でバンドン、アードモアの計3種。
センターネックのブレード型はTB2ジュノ、ネオマレット型はTM2バンドンの2種となります。
トラスTM1 トラス ヒールパターの特徴
アマチュアゴルファーにとってもっとも使いやすいのが小型マレットパターである、TM1トラスヒールではないでしょうか。
トウ、ヒールから突き出たツノ形状が特徴のヘッドです。
これはトウ、ヒールに重量を持たせることで慣性モーメントが大きくなり、安定したストロークがオートマチックに打てるパターです。
しかし、ストローク中に微妙な調整を加えることは苦手なため、芯で打たないと思うような転がりが得られずショートしたり、オーバーしたりといったミスもありました。
その点、トラス構造は芯(スポット)が拡がりエリアとなったことで、従来のミスヒットがミスにならず、安定した転がりが望めます。
アマチュア、初心者にはこの「TM1トラス ヒール」が適しているのではないでしょうか。
トラスTM2 トラス センターパターの特徴
パターであっても芯でとらえない限りボールヒットの瞬間にはフェースが重心を中心に向きを変えます。
そこで構えた時にシャフトの延長上にボールをセットすることで芯でヒットしやすくしたのがセンターシャフトのパターです。
ただし、芯を外すとやはり思うような転がりと方向性が出せないのもセンターシャフトパターの弱点でした。
そこでヘッドのトウとヒールを底辺とするトラス構造にすることで、フェースインサート全面が芯になり、方向性の誤差を少なくしながら、センターシャフトパター特有のソリッドな打感も得られるパターになりました。
まとめ
テーラーメイドは、過去、フェースにロールもバルジも設けない、真っ平らなフェースのドライバーや、
フェースのトウとヒールを内側にねじることでミスヒットしてもボールが曲がらないツイストフェースなど常に斬新なアイデアを搭載したクラブを発表しています。
実はそのどれもがアマチュアの悩みを解決することから生まれたものなのです。
トラス構造のパターも同じです。
芯でしっかり打てる確率がプロ、上級者に比べて下がるアマチュアがやさしく打ててカップインの確率を上げることができるようにと考案されたものです。
そのやさしさに稲見萌寧プロも魅力を感じて実戦で使用しています。

アマチュアのお助けパターとして、スコアのほぼ半分を占めるパット数を減らせるのなら使ってみる価値は十分にあると思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。

現役時代はNHKETVの外部契約として中嶋常幸プロから藤田寛之プロ、
今田竜二プロの男子ゴルフと森口祐子の「女子プロに学べ」のゴルフ
理論を番組化しました。番組終了後は、数名のライターさんと独自取材でブログ運営しています。
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