蛭田みな美の優勝歴とジュニア時代の成績を紹介します。
女子ゴルフ界にまたまた、新たなヒロインが生まれました。今季24戦目にして8人目の初優勝者はプロ8年目の”蛭田みな美”です。
蛭田選手は2016年7月のプロテストに合格しました。
2018年のステップアップツアー「九州みらい建設グループレディース」で優勝しましたが、レギュラーツアーではなかなか結果を出すことはできませんでした。
しかし26歳となった2023年の蛭田みな美は違っていました。念願の初優勝はプロ8年目、真夏の箱根で開催の第24戦「CAT Ladies」でした。
2016年のプロ入りから2023年まで、蛭田選手はシード権を獲得したことはありませんでした。
2023年はQTは29位、リランキングは7位の成績でツアーに参戦しています。
トップ10に2度入っていますが、予選落ちも8回ありました。しかし、プロ8年目の第24戦「CAT Ladies」で涙の初優勝。
これで初めてシードの権利を得ることができました。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E8%9B%AD%E7%94%B0%E3%81%BF%E3%81%AA%E7%BE%8E&imageId=321147
大会名 | CAT Ladies2023 |
開催日 | 8月18日~8月20日 |
開催場所 | 大箱根カントリークラブ(神奈川県) / 6,638Yards Par72(36,36) |
賞金総額/優勝賞金 | 6,000万円/1,080万円 |
こんな劇的な優勝シーンの感激をしばらく忘れることはできません。まるでゴルフ漫画のエンディングのようです。
首位から出た蛭田選手が単独トップで迎えた最終18番パー5でまさかのスリーパットのボギーとしました。
通算13アンダーとし、先に同じく首位から出て最終日最終組で回った西郷真央と並び、プレーオフとなりました。
両選手ともプレーオフは初めてです。
最終日、難易度NO1の16番パー4でバーディを取り14アンダーとし西郷選手に2打差リードで残り2ホールに臨みました。
ちなみに最終日の16番パー4は蛭田選手を含めて2人しかバーディは出ていません。
しかし、西郷選手が17番パー3でバーディを奪い13アンダーその差は1打となり最終ホールに向かいます。
18番パー5の西郷選手はパーでフィニッシュ。蛭田選手は2メートルのバーディーパットを残していました。
ここから2打をかけても優勝です。ギャラリーも視聴者も誰もが、ウイニングパットの瞬間を待っていました。
しかし、傾斜が強く難しいラインでしたが約50cmのパーパットはカップ左縁を回って外してしまいました。
蛭田選手のコメント。
「バーディパットをどういう気持ちで打てば良いのかわからなかった。平常心で打てなかった。冷静になることができなかった」
箱根の神は蛭田選手を突き放しました。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E8%9B%AD%E7%94%B0%E3%81%BF%E3%81%AA%E7%BE%8E&imageId=321090
18番の3パットでプレーオフに突入した1ホール目。蛭田選手のドライバーはミスショットで林のいやなライへ落ちました。
2打目はUTで打ちましたがすっぽ抜けた感じで右ラフへ。
しかし、そこから箱根の神とキャディをしている父のアドバイスでグリーセンターを狙い見事パーオン。
このバーディチャンスを見事に決めて念願の初優勝を挙げました。父と二人三脚の涙の優勝でした。
蛭田選手のコメント。
「初優勝まで長かった。自分はこのまま勝てないで終わると思った時期もあった。箸にも棒にもかからなかった」。
蛭田選手のコメント:引用:ヤッフーニュース
優勝後の試合でもパッティングについて以下のように語っています。
「ガツガツ行かない。特にパッティングはいいラインでも、タッチをあわせる程度の感覚でストロークをしたら、なんとなくカップイン。こういう感じなら、いいんだなぁ、と-大きなきっかけになった」
選手は何かのきっかけを掴むと好調になることが多いですよね。蛭田選手はパッティングの感覚でした。
パーセーブ率は86.1883%で24位です。この成績が物語っていますね(9月10日現在)
それと、心がけているのは呼吸です。「ため息をつくと幸せが逃げる」のCMを観たことがあると思います。
サラリーマンがふと公園でため息をつくと幼稚園児がその大人に注意するシーン。
ツアーでもよく見かけます。そして見た瞬間の好感度は下がりますね。女神が逃げていくのでしょう。
蛭田選手も意識することで「ピンチが少なくなった」と言います。
他の女子ゴルフ選手の優勝一覧はこちら
⇒女子ゴルフ選手の年別優勝者と優勝回数一覧。
蛭田みな美のクラブは2021年に本間ゴルフと契約していますが、初優勝時のセッティングの構成はピンゴルフです。
2年前にはパターイップスにも苦しんでいたが、小祝さくらのプレースタイルから学んだと言います。
それはプレー中の笑顔でした。どんな状況でも「笑顔」でいられることが強さの秘訣だということを学んだのでしょう。
オフはトレーナーと契約し、ウエートトレーニングなどの肉体改造にも取り組みました。
その結果は優勝時のドライバーの飛距離は253.167ydと昨年の平均値より約17ヤード伸びています。
「ゴルフは瞬発力。一瞬で100%が出せるか」
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E8%9B%AD%E7%94%B0%E3%81%BF%E3%81%AA%E7%BE%8E&imageId=187576
大会名 | 【2018】九州みらい建設グループレディースゴルフトーナメント |
開催日 | 4月26日~4月28日 |
開催場所 | 武雄ゴルフ倶楽部(佐賀県) / 6,255Yards Par72(36,36) |
賞金総額/優勝賞金 | 2,000万円/360万円 |
年 | 賞金順位 |
2016 | 164位 |
2017 | 70位 |
2018 | 133位 |
2019 | 58位 |
2020-21 | 58位 |
2022 | 80位 |
2023 | 21位「CAT Ladies」後 |
プロ入り後はアマチュア時代とは環境が異なるためか、思うように実力が発揮できませんでした。
2017年はレギュラーツアー34試合に出場して予選落ち20試合。
最高順位は「ヨネックスレディスゴルフトーナメント」での2位タイという結果に終わります。
2018年になってもレギュラーツアーでは結果的には苦戦が続きます。ただ、内容的には2017年の予選落ちでは、
13オーバー、12オーバー、10オーバー、11オーバーなど二けたオーバーがあったものの、、、
2018年は最多でも9オーバーと、次第にスコアがまとまってきており、相手関係で決まる結果という傾向にありました。
そしてステップアップツアーの「九州みらい建設グループレディースゴルフトーナメント」で優勝しました。
蛭田みな美選手は1997年福島県で動物病院を経営する家庭に生まれました。
父親は東北でも有名なアマチュアゴルファーでした。その影響で、蛭田みな美の姉と兄もゴルファーとして活躍し、
蛭田プロ自身も幼少の頃からクラブを握って遊んでいる子でした。
年 | 大会名 | 順位 |
---|---|---|
2009年 | 東北ジュニアゴルフ選手権 | 優勝 |
2010年 | 東北中学校ゴルフ選手権 | 優勝 |
中学3年当時に参加した「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でプロを抑えて予選通過しました。
そしてベストアマを獲得したことで一躍メディアから注目される存在となりました。
2009年「東北ジュニアゴルフ選手権」で初優勝し、記録に残る最初の競技成績が優勝でした。続いて2010年「東北中学校ゴルフ選手権大会」でも優勝します。
中学時代に「すべてを犠牲にしてもゴルフをやる」という蛭田の決意に応じて、父親が全面的にバックアップすることになりました。
年 | 大会名 | 順位 |
---|---|---|
2014年 | 日本女子アマチュアゴルフ選手権 | 優勝 |
キャロウェイジュニアワールド選手権 | 世界3位タイ | |
2015年 | 日本ジュニアゴルフ選手権競技 | 優勝 |
ワールドレディスサロンパスカップ | ローアマ | |
センチュリー21レディス | ローアマ | |
2016年 | スタジオアリス女子オープン | ローアマ |
高校は「学校法人石川高等学校」に進み、ゴルフ部に入部しますが、練習は父親とマンツーマンで行っていました。
練習はもちろん、使用クラブの選択からクラブ調整までも父親が行い、その成果が2014年に出ました。
2014年の日本女子アマチュアゴルフ選手権では、素質が開花しました。勝みなみを上回るベストスコア“65”をたたきだし、見事に優勝しています。
同年「キャロウェイジュニアワールド選手権」にて世界3位タイ、さらに2015年には「日本ジュニアゴルフ選手権競技」優勝、
「ワールドレディスサロンパスカップ」44位タイでローエストアマチュア獲得し、「センチュリー21レディス」11位など先輩プロ顔負けの成績を残します。
アマチュア時代の集大成として2016年には「スタジオアリス女子オープン」で11位となりローエストアマチュアを獲得しました。
当然のこととしてプロテストを受け、2016年に一発合格し、晴れて女子プロゴルファーとして、キャリアをスタートさせます。
「蛭田みな美プロ」が誕生しました。
プロ入り後はプロの厚い壁に阻まれ、思うような成績を残せておらず、2019年はQTランキング18位の成績でツアーに参戦しています。
しかし本来の実力は十分であり、早い優勝が期待される選手です。
蛭田みな美は畑岡奈沙、山口すず夏、安田彩乃を輩出している中嶋常幸が主宰するトミーアカデミーの2期生です。
91名の書類選考から26名の門下生が選ばれています。
その中の一人として2014年の「日本女子アマチュアゴルフ選手権」で優勝できたことは中嶋常幸氏への恩返しにもなりましたね。
「黄金世代」のプロゴルファーより1年上の蛭田みな美は、実績では負けていません。
ただ、本来の、末っ子らしい天然系でのんびり屋の性格が愛される反面、勝負の世界で他人を押しのけて勝ちに行くという強い気持ちと、
スコアを作るために求められる東北人の粘り強さが発揮できるかが今後の活躍を左右すると思われます。
「勝ち続ける」にはそろそろスイングだけは父親のもとを離れ、客観的な第三者であるコーチについて練習する時期に来ているのではないかとの意見もあります。
群雄割拠の女子ゴルフ界で一歩先を走り常に上位で戦うにはジュニア時代の恩師・父から離れる時が必要になります。
蛭田みなみプロも今がその時かもしれません。
ですが、その恩師であり父がキャディーを務めた「CAT Ladies」で初優勝したのは父の助言があったからです。
蛭田みな美プロの今後のゴルフに期待しましょう。
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