黄金世代の中核を担う田中瑞希プロのスイングをクラブ別に分析してみました。
2020年は沖縄の開幕戦から大会が中止になり17試合目の「アース・モンダミンカップ」が開幕戦になりました。
その開幕戦の最終日、単独首位に立っていたのは昨年(2019年)プロテストに合格した田中瑞希プロでした。
女子ゴルフの王国、熊本で鍛えられたメンタルの強さと小柄な体格に似合わず飛距離を生み出すスイングが特徴の田中瑞希。
そのキレの良いスイングを紹介します。先ずはYoutubeの田中瑞希をご覧ください。
さて、既に100切りを達成した「凄腕ゴルファー」の次の目標は90切りです。
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田中瑞希のスイングをクラブ別に分析、ドライバー編。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E7%94%B0%E4%B8%AD%E7%91%9E%E5%B8%8C&imageId=238466
田中瑞希プロのスイングは大型ヘッド、高慣性モーメントの現代ドライバーの打ち方の「一つの解」とも言えると思います。
フェースローテ―ションを使わず、インパクトに向けてシャローにヘッドを動かすことで打ち出し角とスピン量を最適化して飛距離を伸ばしています。
「無駄な動きをしない」という、コンセプトのスイングがドライバーからウェッジまで続きます。
ドライバーショット。
田中瑞希プロのスイングはまず、アドレスが自然体で構えていることです。
前傾からまっすぐ自然に下ろした腕の位置でグリップをし、フェースをボールに向けたまま、テークバックに入ります。
トップから自然な切り返しでダウンに移行して、やや手の位置をダウンさせてシャローにヘッドをいれてゆく準備をします。
そのままインパクトからフィニッシュまで頭は右に残したまま身体の捻転に合わせてクラブが動きます。
常に手が身体の正面から外れず、「無駄な動きがない」「再現性が高いスイング」といえるのではないでしょうか。
体調やメンタルの影響をあまり受けないスイングであることも田中瑞希プロの強さの要因かもしれません。
ドライバーショットのバックスイング
ドライバーショットでも、バックスイングでは右股関節の上に上体が乗るように体重移動を行います。
右腰を後ろに引いてパワーを十分ためたら、インパクトでヘッドスピードがマックスを迎えるようにクラブを下ろします。
やはりダウンスイングは右のお尻を回すことから始めましょう。バックスイングで左肩を右足の前に持ってきたら、フォローでは右肩を左足の上に持ってくるイメージです。
インパクトまで右足体重をキープし、スイングの最下点を過ぎてからボールをとらえます。
インパクトでは左ヒザが伸びるぐらいに左足で地面を押して、下半身にブレーキをかけると、ヘッドスピードがマックスになります。
インパクト後は左足に体重を乗せていき、フィニッシュまで振り抜きましょう。
使用ドライバーとの相性を分析。
プロ入りと同時にキャロウェイゴルフと正式に契約しました。
2020年はどこで打っても飛ぶと評判のキャロウェイ「マーベリックサブゼロドライバー」ロフト10.5度を愛用しています。
もともとやさしいクラブ作りから歴史が始まったキャロウェイゴルフですので大型ヘッドで低重心、高慣性モーメントは得意とするところです。
それゆえ叩きにいきたいゴルファーには打点がバラつく、あるいはヘッドが思うように戻りきらず方向性が悪いなどの現象が見られることもあります。
田中瑞希プロのスイングはセットアップからそれこそフィニッシュまで、フェースをボールに向けて、慣性モーメントを飛球線方向に向けています。
トップからはやや手を下げて身体の背面、低い位置からダウンスイングに入り、ボールの下から緩やかにヘッドを入れて低スピン、かつ適正な打ち出し角度を作ります。
有効打点の広さもスイングに安心感を与える、現代ドライバーのお手本のようなスイングをし、「マーベリックサブゼロドライバー」のポテンシャルを有効に引き出せているのではないでしょうか。
やさしいクラブのやさしさに仕事をさせようという意図が伺えます。このようにプロでも「スイングの特徴」で使用ドライバーを選びますね。
田中瑞希のスイングをクラブ別に分析、アイアン編。
アイアンショット。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E7%94%B0%E4%B8%AD%E7%91%9E%E5%B8%8C&imageId=230320
アイアンでも基本のスイングは変えず、あまり大きくターフを取らずに「払い打ち」のイメージでボールを捉まえます。
田中瑞希プロはここでもフィニッシュに至るまで上体の捻転と腕を同調させてクラブのフェースターンに任せて振っている印象があります。
使用アイアンとの相性を分析。
アイアンはキャロウェイとしては珍しく軟鉄単一素材の鍛造アイアンである、「キャロウェイXフォージドスターアイアン」を使用しています。
薄めのトップブレードを持ち、精悍なフォルムを持つキャビティバックアイアンですが、そこはキャロウェイの製品ですのでやや大きめのヘッドとして、さらにストロングロフト設計の「飛び系軟鉄鍛造アイアン」に仕上げています。
Xフォージドアイアンは上達を目指す中級アスリートゴルファーにも使いやすいやさしさを持たせた分、基本性能としてつかまりの良いヘッドにしていますので、左に行きやすい、つかまり過ぎるという現象も起こりえます。
必要以上に打ち込むことをせず、スイングプレーンの途中にボールがあるようなイメージでも、もともと飛ぶアイアンですのでよく特性を掴んでいると思います。
田中瑞希のスイングをクラブ別に分析、ウエッジ編。
アプローチ。
2019年に最も練習を積んだのがショートアイアンからアプローチでした。
今まではほぼ、ピッチエンドラン一辺倒だったのを先輩プロのアドバイスを受けて、ロブショットの練習に取り組みました。
この練習によりソール、バウンスの滑らせ方や使い方を身に付けて傾斜やラフからの打ち方にも応用しています。
ウエッジとの相性を分析。
田中瑞希プロのウエッジは「MACK DADDY FORGED ウェッジ」の48度と52度を、
それともう一本「JAWS ウェッジ」の58度のウェッジ3本を使っています。
スコアラインの幅をルールギリギリまで広くした上に、フェース表面に凸上にマイクログルーブという、細かいラインを入れたことでスピン性能が向上したマックダディシリーズの、軟鉄鍛造ヘッドのモデルです。
ソール形状も用途と打ち方によって選べるなど、振ればオートマチックにスピンが効いたボールが打てる、距離感が出しやすいウェッジです。
「余計な動きをしない」田中瑞希プロのスイングにはマッチしていますよね。
ウエッジショットは60ヤード。
2020-21年の開幕戦「アース・モンダミンカップ」は4日間で18個のバーディを取り、3位タイに入り一躍注目を浴びました。
そのうち11個はパー5で奪ったのです。
その戦略はあえて3打目を60ヤード残すことでピンに寄る確率が高くなり1パットでバーディが量産できたのです。
ゴルフは逆算のスポーツです。あなたもコースマネージメントで距離を逆算してあえて60ヤードを残す戦略で試してみて下さい。
ショートスイングが完成されていればバーディは取りやすいのです。スイング診断を受けてショートスイングを完成させましょう。
それでは田中瑞希プロはなぜ60ヤードを残すのでしょうか?
ウエッジショットは60ヤードを残す。
パー5はプロにとってはバーディホールですよね。
ただそれぞれ攻め方は違うと思います。ドライバーを得意としているプロはドライバーで距離を稼ぎ2打目でグリーンを狙うのがオーソドックスですね。
田中瑞希プロも同様ですが、でもグリーン周りにバンカーが多く池などのハザードがあるホールはあえて60ヤード残すことにしているのです。
それはグリーン周りの難しいアプローチを残すよりも田中瑞希プロは60ヤードから打ったほうがピンに寄せやすいと言います。
3打目でピンをデットに狙い1パットでバーディを取るマネージメントですね。60ヤードの距離を正しく打てるように練習して下さい。
60ヤードスイングの基本。
60ヤードスイングのウエッジは「JAWS ウェッジ」の58度です。そして距離感のつくり方はフルショットを含めて4段階あります。
振り幅は4段階
- 腰から腰
- 腕が水平
- 耳から耳
- フルショット
この4段階です。そしてグリップの位置は3種類です。
グリップの位置は3種類
- かなり短め(指5本くらい)
- 短め(指3本くらい)
- 通常(指1本くらい)
クラブを持つ長さは基本的に上記の3段階に、振り幅は4段階で分けています。これをマトリックスで表すと
腰から腰 | 腕が水平 | 耳から耳 | フルショット | |
---|---|---|---|---|
かなり短め | 30 | 40 | 50 | 60 |
短め | 40 | 50 | 60 | 70 |
通常 | 50 | 60 | 70 | 80 |
上記は田中瑞希プロのグリップする位置と振り幅の相関関係の基準ヤード(距離)です。それぞれ10ヤード刻みであることが解ると思います。
この数値は人それぞれですし、クラブのロフトによっても違ってきますのであくまでも目安として参考にして下さい。
60ヤードスイングのポイント。
- ポイント1、下半身主導のダウンスイング
- ポイント2、足裏全体で重心を感じる
- ポイント3、ダウンスイングは右のお尻から
ポイント1の下半身主導のダウンスイングを体感するエクササイズは、クラブを持たずに右手首と左手首を交差してトップの形を作って下さい。
そこから右ヒザを正面に向ける意識を持ちながら、右のお尻を左に回す動きを何回か繰り返して体感して下さい。
ポイント2の足裏全体で重心を感じるには、アドレスで重心が浮かないように足裏全体に重心が乗っていると感じるようにして下さい。
クラブを軽く握ることで上体をリラックスさせたら、腹筋を右に回すことでバックスイングを行って下さい。
腕と肩でできる三角形がクラブと一緒に腹筋についてくるイメージです。
ダウンスイングへの切り返しは、右ヒザを正面に戻しながら右のお尻から回して下さい。そしてインパクト後は惰性で体を左に回して下さい。
ポイント3のダウンスイングは右のお尻からは、上記でも何回もいっているように60Yスイングに限ったことではありません。
58度だけでなくドライバー、フェアウエイウッド、アイアンにも共通したスイングのコツです。
バックスイングで右のお尻にテンションを感じ、ダウンスイングへの切り返しは、そのお尻を左に回すことから始めます。
このときに、左サイドにスエーしないように、右ヒザを正面に向ける動作が大切です。
60ヤードスイングのドローとフェード。
- フェードボールを打つ
- ドローボールを打つ
フルショットでなくてもドロー、フェードを打ち分ける練習をしましょう。トーナメントでもあなたがラウンドするコースでもピンは必ずしもグリーン中央にあるとは限りません。
ピンに寄る確率を高くするには曲がる球を意識して攻めて下さい。グリーン右サイドにピンが立っている時は、フェードボールが有効です。
打ち方は、オープンスタンスに構えて、フェースを目標に合わせたら、スタンスに沿ってスイングして下さい。
グリーン左サイドにピンが立っている時はドローボールが有効です。
打ち方はクローズスタンスに構えてフェースを目標に合わせスタンスに沿ってスイングして下さい。
田中瑞希のスイングをクラブ別に分析、パター編。
パッティングはワイパー軌道。
パッティングはワイパー軌道でしっかりつかまえなければバーディを決めることはできません。ボールをつかまえるにはストロークの軌道が重要です。
マレットやブレードタイプのパターでも、ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出すストロークでは球がつかまりづらいことがあります。
L字タイプならなおさらですね。田中瑞希プロは2020年からL字タイプに替えています。
このパターではフェースをテークバックで開きフォローで閉じるワイパー軌道のストロークがしやすくなります。
ボールがつかまりやすくなるし曲がるラインでも転がりがよくなります。カップの外側からボールが入るようになったとコメントしていました。
他の黄金世代のスイング一覧はこちら
⇒「女子ゴルフ」黄金世代の女子プロゴルファー“スイング”一覧。
まとめ。
あどけない笑顔とは裏腹に秘めた闘志とメンタルの強さは渋野日向子、畑岡奈紗、河本結など黄金世代の同期が海外で戦う間、国内ツアーを盛り上げてくれることでしょう。
アマチュアも参考にしたいほど現代のクラブの扱い方としては基本に忠実であり、それゆえ大きくスイングを崩すことも少ない田中瑞希プロのスイングであれば、優勝も近いと思います。
田中瑞希プロを応援しましょう。エンジョイゴルフ。

現役時代はNHKETVの外部契約として中嶋常幸プロから藤田寛之プロ、
今田竜二プロの男子ゴルフと森口祐子の「女子プロに学べ」のゴルフ
理論を番組化しました。番組終了後は、数名のライターさんと独自取材でブログ運営しています。
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