大里桃子のスイングの特徴を各クラブ毎に紹介します。
女子ゴルフで、1988年のツアー制施行後、史上初のプロ入り同一年に初優勝した選手は誰?などと、後世にクイズで出題されそうな「お題」ですが、、、
正解は大里桃子(おおさと ももこ)選手がその人です。ただ、その後は少し苦しみました。
その要因はパッティングでした。ですから試行錯誤しながらパッティングのスタイルを変えたのです。
そしてその結果は連続中止になっていた女子ゴルフの2020-21年の開幕戦「アース・モンダミン・カップ」で出ました。
復調の兆しは5位タイの成績です。そうです復調し遂に2勝目も果たしました。
さて、ゴルフ上達の秘訣は「反復練習」を継続することです。スイングはトルネードスティックで毎日5分。
パッティングはパターマットで毎日50球ヘッドの芯に当てる練習。毎日反復練習を行って下さい。
経済的に余裕のあるゴルファーは「ライザップ」や「ゴルフテック」も良いですが、自宅の室内での反復練習は「トルネードスティック」と「パターマット」です。
大里桃子のクラブ別スイング、その魅力の原点。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E5%A4%A7%E9%87%8C%E6%A1%83%E5%AD%90&imageId=194319
不動祐理、上田桃子、古閑美保、有村智恵そして2020-21年の開幕戦で優勝争いをした同じ黄金世代の田中瑞希などゴルフの実力者を輩出している熊本県。
その熊本県で1998年に生まれた大里桃子は「黄金世代」のプロゴルファーの一人です。
高校時代には「九州ジュニアゴルフ選手権」「熊本県ゴルフ選手権」をいずれも連覇、熊本県アマチュアゴルフ選手権優勝など輝かしい実績を誇り、、、
満を持して臨んだ2017年のプロテストでは最終試験で1打足りずに不合格の憂き目にあいました。
しかし、翌年には無事に合格してプロの仲間入りを果たしています。(渋野日向子プロと同期です)
170センチという恵まれた体格を持っています。
それは幼少期からバスケットボール、水泳、陸上競技などのゴルフ以外のスポーツを経験していて、さらに特技はピアノ、というマルチな才女です。
自身の売りは「粘り強さ」という大里桃子プロのスイングの魅力も探ってみたいと思います。
パッティングスタイル。
大里桃子プロのパッティングですが、イメージ通りに打つにはフェースの芯に当てることが必須といいます。
当然なんですが、これが非常に難しいですよね。
大里桃子プロはイメージした転がりが欲しいので、ボールの芯に当てることを一番気にしています。
芯に当てた順回転の転がりでないと、思った通りの方向に転がってくれませんし、思ったよりも距離が出なかったりしてしまいます。
右肩が下がると、ヘッドの動きはアッパーになります。
つまりヘッドが上昇していくようなフォローは、右肩が下がってアッパーにインパクトしている証拠です。
スクエアにボールをインパクトするには、胸と肩を一体化させて動かさないといけません。
胸郭から背中を意識して動かすと、肩だけが独立して動くようなことはなくなります。
胸と肩の大きな筋肉を使えば肩の上下動を抑えることができます。是非試して下さい。
あなたに適した練習方法を見つけて練習してみて下さい。
大里桃子のクラブ別スイング。
プロテスト合格からわずか23日後の2018年8月に行われたCATレディースで初優勝という、衝撃的なデビューを飾った大里桃子プロゴルファー。
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好感がもてるのは、ティアップして素振りを2回したあと、コースに向かって一礼することです。
こうすることで、謙虚な気持ちになり、力みや欲が抑えられるというメンタル面での落ち着きが得られるのだと思います。
ドライバーショット。
ドライバーショットは、右手でクラブを握ってアドレスに向かう、その右腕があらかじめライ角に合わせて曲がっていることです。
こうすることで、右肩のかぶりや突っ込みが抑えられる効果があります。左への引っ掛けを嫌う意識の表れだと思います。
オーソドックスなアドレスですが、両足に根っこが生えたようにどっしりと落ち着いた構えをしていますよね。
アドレスでの体重配分は5対5で両足に前後左右から押されてもびくともしないような下半身の強靭さを感じさせます。
ドライバーのバックスイング。
そして、わずかに右足に体重をかけながら、左肩始動で、ヘッドを低く遠くへ上げていくテークバックを、右サイドでしっかり受け止めています。
身長を生かしてヘッドが落下するエネルギーをヘッドスピードに変換するように手が高く上がります。そして腰の切り返しからダウンスイングに入りますが、ここでわずかに頭が右に動きます。
頭を右に極力残すことでヘッドを走らせようという意図があると思います。
インパクト直前まで、左サイドでしっかりパワーを受け止めヘッドを放り投げるようにインパクトを迎えてそのままヘッドの行きたい方向へフィニッシュします。
ドライバーのヘッド。
ただ、視点を変えて現代のドライバーはヘッドが大きくなり、スイートエリアも広がりました。
やさしくなったといわれますが、反面、ヘッドが大きい分、慣性モーメントも大きいので、インパクトでフェースがスクェアに戻りにくいという特性があります。
従って、多くのゴルファーが、シャットフェース、つまりあらかじめフェースを閉じた状態でインパクトの形を作ったままスイングを行います。
テークバック後半からトップにかけてフェースが斜め上を向きます。ところが大里桃子プロのスイングはここでフェースが正面を向いています。
ですので、現代のドライバーではインパクトゾーンの9時から3時で手を返す動きをしないとボールがつかまりません。
大里桃子プロがCATレディースで使用していたドライバーは、ブリヂストン「ツアーB XD-3C」です。
Cは市販品のXD-3のカスタム対応の意味で、XD-3に比べてつかまり度合いを弱め、低スピン傾向に調整したモデルです。
大里桃子プロのスイングの特性に合わせた結果、このヘッドになったとみるべきだと思います。
ドライバーのシャフト。
シャフトは三菱レイヨンの「KUROKAGE XT 60」です。
ロリー・マキロイやアダム・スコットなどのトッププロが使用したプロトタイプを製品化したこのシャフトは切り返しで手元がしなる、典型的な元調子のシャフトです。
叩いても左にいかない反面、少しでも気を抜くと右へのすっぽ抜けのボールが出るということです。
長さ45.5インチでフレックスはSという、三菱レイヨンの担当者に「女子でこのスペックは珍しい」と言わしめるほどのハードスペックです。
つかまり度合いが少ないヘッドにつかまりにくいシャフトの組み合わせになりますので、かなりのハードヒッター用ですね。
しっかり手を返していかないと思い通りのボールが打てない、少しでも気を抜くと左右にブレてしまうのではないかと思います。
ドライバーとの相性?
フェアウェーキープ率が2018年は91位、2019年は68位という結果に、もしかしたら「神経を使うクラブを使用している」、そういった要因があるのかもしれません。
ましてやプロ入会から23日後に初優勝をし、本人以外の外的要因が盛り上がり、スポンサーも次々と決まるなど、忙しくなりました。
ゴルフ漬けで過ごせたアマチュア時代には予想もしなかった私生活の変化があったと思います。
そして、練習量の不足や疲労の蓄積が加わり、ハードスペックのドライバーが微妙に負担となって後半は調子を落としたこともあるかと思います。
大里桃子のスイング、アイアン。
アイアンのスイングについても、アイアンを握った右腕を右わき腹にピタリとつけてアドレスに入ります。
これも肩がかぶらないように、右肩が前に出ないようにしようという意図の表れだと思います。
そしてしっかりと手を返してボールをとらえて振っていきます。
フィニッシュでシャフトが水平だったり、あるいは斜めだったり異なる形に収まるのは自分でフェースコントロールを行っていることの結果だと思います。
使用アイアンを替える。
大里桃子プロはそれまで使用していたブリヂストンから「J015 CBアイアン」2018年後半のシーズン途中に「TOUR B Ⅹ-CBアイアン」へとクラブを換えました。
シーズン途中でのクラブの入れ換えはとても珍しいことです。
J015CBアイアンは、小ぶりなフェースと薄いトップライン、ほぼストレートネックの、シャープに見えてしっかり振れる、プロ・上級者好みの顔つきをしています。
バックフェースのスイートエリアあたりが肉厚になっていますので、厚めで柔らかい打感を感じられると思います。
ほぼ、マッスルバックといっても良いモデルです。
アイアンのシャフト。
シャフトはN.S.PRO950GHのSシャフトを使用しています。
ニュートラルな挙動のシャフトになりますので、ドライバーからの流れでアイアンもしっかりつかまえてコントロールしたいという意図の現れたクラブチョイスだと思います。
そして2018年の後半に「TOUR B Ⅹ-CBアイアン」へと換えました。
TOUR B Ⅹ-CBアイアンはブリヂストンが手がけるプロ・アスリート向けシリーズのTOUR Bに用意されたアイアン2機種のうちの1つです。
小顔、ややグースネックでトウ側の丸みが少なくネック側が高めという、球筋を自分でコントロールしたいというシリアスなアスリートゴルファーの要求を満たすデザインです。
J015CBアイアンと比較すると、TOUR B Ⅹ-CBアイアンはソールがやや厚く、丸くなっており、重心がやや低く、抜けの良さが優先されたアイアンになっています。
大里桃子のスイング、ウエッジ。
大里桃子プロのウエッジのアプローチは比較的上げて寄せる、ピッチエンドランを使用するケースが多いようです。
出典:https://news.golfdigest.co.jp/photo/detail/?search=%E5%A4%A7%E9%87%8C%E6%A1%83%E5%AD%90&imageId=195365
上げて、スピンをかけて止める、戻すというイメージを強く持っているような気がします。
ウエッジも替える。
ウェッジは「TOUR B XW-F」から、ミクロ単位でのフェース加工によってよりスピン性能に優れた「TOUR B XW-B」へと変更しました。
フェースプログレッションがやや大きく、リーディングエッジも丸くボールを拾いやすいイメージが湧くヘッドですので、、、
手首を返すことなくボールを乗せて運ぶイメージが湧くのが気に入っているのではないかと思います。
他の黄金世代女子ゴルフのスイングの一覧はこちら
⇒黄金世代の女子ゴルファー“スイング”一覧
まとめ。
初優勝から間もなくの2018年の10月にクラブを一挙に9本入れ替えるというクラブセッティングの荒療治を行いました。
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特にアイアンは、キャビティ部分が深く、重心も低くなった、少しやさしいアイアンを選んでいます。
おそらく、初優勝したCATレディースの最終日、14番からのショットを見て、初優勝がかかったプレッシャーの中で微妙にショットの方向性に狂いが生じていたことを振り返ったと思います。
プレッシャーの中でも確実に想定通りのショットが打てるようになること、そのためのクラブ変更だと思います。
F1カーから、ハンドリングに少し遊びがある高性能スポーツカーに乗り換えるようなイメージですかね・・・。
シーズン途中での思いきったクラブ変更は、長編作品「大里桃子物語」の「ゴルフがうまいアマチュア」のプロローグから、、、
いよいよ「プロゴルファー」としての本編に入るということだと思います。
さて、アマチュアの皆様も同じことがいえると思います。自身のスキルに合わせたクラブをチョイスすることも上達への近道になるのではないでしょうか?
そして、黄金世代の女子プロゴルファーの誰もがコーチとの二人三脚でスイングやマネージメントを作りあげています。
ゴルフをこよなく愛する皆さんもぜひプロコーチからスイングを診断してもらいましょう。あなたのスイングが劇的に変わりますよ。
さて、プロゴルファーの真の評価は2勝目とよく言われます。
「黄金世代」の各選手も2勝目に向けて苦闘が続いています。大里桃子プロも真の評価の2勝目は果たしました。
これからは更に複数優勝に向かって頑張ってほしいと思います。大里桃子プロを応援しましょう。
エンジョイゴルフ!!ゴルフライフを楽しんで下さい。
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